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後ろ盾を失ったスカピーニも、自身の傷心を押さえF-3チームの単独オーナーとして奔走し、トゥルーリのために年式落ちのラルトVWを準備してなんとかスポット参戦を果たすが、何もかもが足りない状況では、もはやこのチームにおいて何かを期待する事のほうが無理だった。
今にして思えば、ここからトゥルーリの本領が発揮されていったのだと思う。 それまでは、エリートコースをひた走っていたゴーカートのチャンピョン。 そして挫折を味わい、雑草の様に這い上がっていく力を身に着けたのだった。 走れる場所を求めて、不満ながらもまたカートに戻ることにした。 シューマッハのように、箱車(いわゆるツーリングカーやGTカー)に乗る方法も有ったのかもしれない。 しかし、もう他人のせいで計画を狂わされるのはごめんだった。 何よりも彼はフォーミュラカーの魅力を、テストを通じて実感していた。 風を感じていたかったのだ。 その頃から、F-1に繋がる道をどこかで感じ取っていたのかもしれなかった。
不本意なカートでも、充分な準備もせず、戻ってすぐ2位を獲得している。 しかし、当時の表彰台の顔は、ニコリともしていない。 「自分はここに居るべきじゃない。」そう訴えている様だった。
そんな時、いつもルーチョが傍にいた。 いつも二人だけで自分たちの荷物を持ち、世界中を飛び回った。 ホテルの部屋さえ、節約のため同室にした。 一人っ子のヤルノにとってルーチョは、兄以上の存在だった。 そしてルーチョはヤルノの才能を心から信じていた。 「チャンスに恵まれれば、きっとどこでもやっていける。今出来る事を精一杯やるだけだよ。」 そう彼はトゥルーリに言い続けた。 二人はいつも夢を語り合った。
text by Masa Kitawaki
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